image


作者:ジョセフ・コーネルJoseph Cornel 1903~1972
書籍名:Joseph Cornell: Shadowplay, Eterniday
頁番号:63p

作者のコーネルはアメリカの芸術家。
シュルレアリスムの影響を受け、自身が収集したありふれた物体を箱に収める作品を作り続けました。 
コーネルの作品は、犯行現場の質感に濡れています。
既に犯行は行われ、時間の特定さえ困難で、
加害者が不在な事に気づくと、被害者さえ初めからいなかった事が理解されのです。
けれど、この頁に記録されたような初期の作品には、
まだ生々しい犯人の息づかいが、残っているのがわかるように思えます。
缶詰に詰められた土と、缶詰に詰められた土に詰められた電球はまだ新しく見え、
散らばった札は作為をもった作者の体温を秘めているかのよう。
私は何度この画集をめくっても、ついいつもこのページを眺めるのです。
夕日のような土と未だ灯らない豆電球が、遠い昔、ほんの少しだけ通った小学校の理科室を思いこさせます。 

黒に濡れた大判の紙に印刷されたコーネルの作品集。
お高いですけれど、コーネルの全集としては最高の物だと思います。
英語ですが、眺めているだけでも美しい。
収集された品が納められた缶詰を、一千と一の頁から成る物語の始まりに収めてしまいます。